「もう、どうでもいい」
この言葉を聞くと、投げやりになったように感じる人もいるかもしれません。
でも私は、必ずしも悪い言葉ではないと思っています。
好きな人から返事が来ない。仕事で失敗が続く。上司の機嫌が気になる。お金や家族のことが心配で、頭から離れない。
何とかしようと考え続けるほど、心はそのことでいっぱいになります。
眠れなくなったり、自分を責めたり、「もっと頑張らなければ」と追い込んだりすることもあります。
そんなとき、私たちは目の前のことを何とか変えようとして、力を入れすぎてしまうのではないでしょうか。
相手の気持ちを変えたい。失敗を一度もしたくない。未来の不安を、今すぐ消したい。
けれど、自分の努力だけでは変えられないこともあります。
相手がどう思うか、いつ結果が出るか、これから何が起きるか。そこまで全部、自分の責任にしなくていいのです。
私にとって「どうでもいい」は、人生を投げ出す言葉ではありません。
傷ついている自分を放っておくことでもありません。
「ここから先は、自分の力だけでは決められない」と認めて、握りしめていたものを少しゆるめる言葉です。
やるべきことをやったら、あとは結果を待つ。相手の返事を待つ間も、自分のご飯を味わう。
仕事のことばかり考えていたら、五分だけ外の空気を吸う。自分の心を、自分の手元に戻してくるのです。
もちろん、何もしなくていいという意味ではありません。
仕事やお金の問題には、相談したり、計画を立てたりする必要があるでしょう。
暴力や嫌がらせなど、身の安全に関わることを我慢する必要もありません。
助けを求めることや、距離を取ることは、自分を守るための大切な行動です。
手放したいのは、自分を大切にする気持ちではなく、「相手を思い通りにしたい」「失敗してはいけない」「今すぐ結果を出さなければ」という心の力みです。
できることは一つずつやる。できないことは、今日だけ少し横に置いてみる。
それだけでも、心に余白が生まれます。余白ができると、本当は何をしたいのか、次に何を選びたいのかが見えてくることがあります。
何かを願うことまで、やめなくていいのです。
好きな人を大切に思うことも、仕事で認められたいと思うことも、自然な気持ちです。
ただ、願いがかなわないからといって、自分の価値まで失われるわけではありません。
思いどおりにならない日にも、自分の一日を少し心地よくする選択肢は残っています。
頑張ることが悪いのではありません。
ただ、頑張り続けることで自分の心が置き去りになっていないか、
ときどき立ち止まって確かめてほしいのです。
休むことも、方向を変えることも、諦めではなく自分を守る選択です。
手放すことは、一度でできなくてもかまいません。朝は平気でも、夜になるとまた不安になる。
そんな日は、「まだ気にしている自分はダメだ」と責めないでください。
それだけ大切だったのだと受け止めて、また少しずつ力をゆるめればいいのです。
無理に「どうでもいい」と思い込まなくても大丈夫です。
気持ちが追いつかない自分も、そのままでいい。
今すぐ答えを出さなくていい。できることを一つやったら、今日は少し休もう。
そう自分に言えるだけで、抱えているものとの距離が少し変わるかもしれません。
誰かの返事や評価だけに、自分の人生の主導権を預けなくていいのです。
今日を少し穏やかに過ごす選択から、自分の人生を取り戻していきましょう。
周りの人と同じ速さで進まなくてもかまいません。
急がず、比べず、自分の歩幅で進む。
それが、自分を大切にするということだと私は思います。